あんたと、俺ら

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「しゅんくん、」 俺の声は、 ハッキリと通っただろうか? 震えては、 いなかっただろうか。 俺の声に反応して 振り替えってくれた 春くんに少しほっとした 「なに?」 「宣戦布告。」 「は?」 俺の吐いた言葉に きょとん顔の春くん 春くん、 あんたはきっと後悔する あの人との距離は きっと遠いからと、 嫌われたくないからと 距離をあけていたこと 後悔させてみせるから あの人はけして、 ひとりで生きたいわけじゃない それを可能にできる 強さも持ち合わせてない それなのに、あの人が ひとりを愛してるように 見えるのは…… 春くん、 あの人が弱いからなんだよ? 失うのが怖いだけ。 ただの臆病なんだ。 それに気づけなかった アンタは負け組だ。 「イチ?」 「アンタは何もわかってない」 そんな風であの人を 好きだなんて言わないで 何も知らないじゃない 何もわかってないじゃない 「俺は必要な存在になる」 近くに居て 『当然』じゃなくて 近くに居ることが 『ゼッタイ』になる事 そうじゃなきゃ、 あの人には愛して もらえないんだよ? 春くんは、 何もわかってない。 「イチ…言ってる意味が」 「春くん」 「ん?」 「鈍い自分を恨みな。」 「はあ?」 「宣戦布告、って」 言ったデショ? 意味ありげな笑みを ひとつ残して 春くんに背を向ける。 震えそうになる拳を 握りしめて。 言った、言い切った。 これでいい。 春くん? 俺、宣言したからには 負けないよ。 俺、 欲したものはゼッタイ 手に入れないと気が済まないの 何年も一緒にいたんだもん そんなことはもう。 随分前に知ってたでしょ?  
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