はろーはろー

会いたい。

｢…イチ、が｣

｢…え？｣

｢また彼女つくったの｣

｢…イチ、｣

｢さびしー、って…
誰でもよかったんだ、って…｣

誰でもいーなら、
俺がいるのに

俺が側にいてやれるのに

…ああ、これだ。
これだったんだ。

彼に感じた不機嫌以外の
なにか、他のもの

｢そこら、の女より…
俺のっ…ほ、が…｣

いちを大事にしてやれるのに

彼は今、
いつぶりに本音を
言ったのだろう

多くを語らない彼は
いつもこんなものを
ひとりで抱えているの？

ちいさな体に
こんなにも重たいものを
背負ってきたの？

｢あやまらせたかった
わけじゃないの…｣

ただ、ただ俺…おれ、

止まらない涙を
手で拭いながら

必死に言葉を繋ごうとする

俺は悪くない、って

だから謝らないで
って必死に伝えようと
してくれている。

｢…慧くん｣

｢いちなんかきらい、
だっ…ておもって…
忘れよ…、て…｣

いつも以上にお酒を
飲んだのも、

俺を求めたのも、

全部いちを忘れたいが為？

…でも、やっぱり
できなかったんだね。

俺はいちじゃないし
あなたは魔性じゃないから

｢…慧くん、イチを
きらいにならないであげて？｣

｢え？｣

あんなことしようと
しといて言うのも
どうかと思うけど…

あなたがね、
泣くのは見たくないから

｢人を嫌いになるのって
理由がいるけど、
人をすきになるのって
理由なんかいらないと思う｣

｢……、｣

気づいたら目で追ってた

気づいたら声をかけてた

気づいたら隣にいたいと思ってた

気づいたら恋をしていた

すきになるって、
そういうことでしょ？

｢お、れにはちゃんと
いちをきらいになる理由が｣

｢たらしなこと？｣

揺れた瞳。

ああ、もう少し別な
言い方をすればよかった

また溢れそう