会いたくない。

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「じゃあ、今日はありがとう」 「…ん。気をつけて帰れよ?」 「だいじょーぶだよ。」 じゃあばいばーい。 幸せそうな雰囲気をふわふわと 漂わせて手を振りながら 歩いていく。 自意識過剰とかじゃなくて、 ああ、俺のことすきなんだ って今日一日で何度も感じた。 そう思われてることで 不安は薄れて俺の居場所を 見つけたって思う。 でも、なんだか心が 空っぽで。 なんだかさびしくって。 あいしてもらってるって ちゃんと不安は薄れてるのに なんで寂しくなるんだよ。 でも、俺にはどーしたら いーのか…わからない。 「イチ」 「…蒼詩、」 ちょっと泣きそうなりながら 俺を写してるその目は ゆらゆら揺れて落っこちちゃいそう 「…また女の子?」 「…お前には関係ないだろ」 「今回は、イチもすきなんだよね?」 今回は その言葉にカチンときた。 それが間違っていた わけじゃない 事実だ。 だからこそ、そこを 突かれてしまうのがいやだった …なんて、自分勝手なんだろう 「今度はってなんだよ? 俺はいつもちゃんと思ってんだよ」 「…なんで付き合うの?」 「うるっせえな、 すきだからっていってんだろ」 「…イチ、」 名前を呼ばれた それだけで心臓が痛んだ。 目のうるうるがさっきより 増した気がして悲しくなった。 つらかった。 みていられなくなった。 そうさせている自分が 情けなくなった 「…寂しかったんだよ。」 「さびしい?」 「誰でも良かった。 誰かに好いてもらっていたかった」 かっこ悪い。 こんな言い訳みたいな… でも本心だった。 不安だったんだ。 こわくてこわくてたまらない そんなのがたまにやって きてしまう俺は何度、 何度こんなことを繰り返して きたんだ? ずっと、苦しかった。 だけど、それを満たす方法を 俺はこれしかしらない。 責めるなとか、 同情してとか、そんなこと 思ってはいない。 ただ満たして。 そのあとは罵られても 構わない。 ただ今、このときだけ。
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