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俺は、イチが大好き
だからなるべく一緒に
いて過ごしているって
感じていたいけど
イチはそんなの、
必要ないのかな。
俺なんかいても、
いなくても。
どんっ、
「わっ…あ、れ。
亮ちゃん?」
「やっと気付いた。
さっきからずっと
呼んでたんだよ?」
「うっそ。
気づかなかった…
ごめんね?」
別にいーけどさ。
ふっ、と目をつぶり
すぐ後ろにあった柱に
寄りかかった亮ちゃん
また目を開くと、
なぜかすごく優しい顔を
していた。
「で?」
「で、って?」
「悩み事でしょ?」
「…うん。」
「ほーら。」
どうせ浅葉ちゃんは
ひとりで溜め込むんだから
「話しなさい。
楽になるよ?」
「……りょーちゃあんっ」
「うぉッ?!」
壁に寄りかかったまま
の亮ちゃんに抱きついて
今さっき考えていた事を
全部、話した。
その話を亮ちゃんは、
うんうんって頷きながら
聞いてくれていた。
その間にやってきた
電車に乗って
亮ちゃんは席を俺に
ゆずり自分は俺の前の
手すりを掴んで立った。
「…俺は…、」
イチの気持ち、
わかるけどな。
「なっ…亮ちゃんひどい!!
リーダーに対しての
気持ちはそんなだったの?!」
亮ちゃんは、俺がイチをすきになる
ずっと前からリーダーが
すきだった。
同性愛者、
そうやって
罵られるのが怖くて
気持ち悪い、
そうイチに
思われるのが嫌で
ずっと隠してきた。
誰にも、バレないように
どんなに悲しい結末に
なったとしても、
片思いでいつづけよう
そう、思っていたら
亮ちゃんが、
俺を見つけてくれた。
手を、さしのべて
くれたんだ。
『別にいいんじゃない?』
『お前にっ…
なにがわかるんだよ?!』
『恋愛なんて人それぞれ
すきって気持ちが
あるなら男も女も
関係ないと思うけど?』
『みんなが皆、
そう思うかわからないだろ?!』
『俺はそう思うよ。
だって、大谷くんの事』
大好きだもん。
真面目で、俺のこと
軽蔑してるんだろーな
と思っていた亮ちゃん
でもそんなことはなくて
このひとはなんて
カッコいいんだろうって
…尊敬だってしてたのに
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