駅のホーム

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「…そんなの、やだ」 「俺や、イチだって 嫌なんだよ」 「だけど俺は イチが好きだよ? 離れたりなんかしない」 「近くにいるとね、 幸せなんだけど……」 もしこの人が自分の側 からいなくなったら どうしよう、 って考えても仕方ない事 をふと考えちゃう時があるんだ 大好きだから、 失いたくなくて 近づきすぎるのを 恐れたりして 自分が選んだのに わざわざその人との 距離を遠ざけたりして 「…わかんないよ。 好きなら好きで、 それでいいと思う。」 考えることなんて、 なにもないよ。 だってせっかく想いが 通じて両想いになれたのに 不安になって遠くに 行くなんておかしい 「…そーなんだけどね、」 少し笑いながら言った 亮ちゃんは悲しそうで ちょっと揺れてる目には きっと俺じゃなくて リーダーが見えてる。 「たまに思うんだ」 今抱えてるものを全部 投げ捨てて真っ白になりたいって そうしたら、どんなに 楽なんだろうなあーって 「ま、本当にそんなこと 起きたら困るけどね」 人を思うことなんて 簡単だと思った すき、って気持ちは ひとつだし 俺の気持ちはちゃんと 伝わっているから 悲しいことはなくて 幸せなんだって でもそんなこと思ってたの 俺くらいなのかな? みんなは苦しくて、 いっぱい泣いて 悩んでいたのかな。 いっそのことこの気持ち を忘れられたら楽なのに なんて思うくらい悩むのかな 車内に聞こえてきた アナウンス もうすぐイチに会える …俺は、幸せだけどな。  
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