鳥籠

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鳥籠

この身を固く縛る鎖は解けぬまま 籠の鳥は飛び立てず 空を見上げるのも心が痛み 歌を奏でる事も出来ずにいた 血の涙を流して初めて 人は自由の価値を知るのだろう 束縛の鎖から 解き放たれる日はいつ 血も罪も涙も果てる事は無く 心をきつく縛る鎖は未だ解けず 籠の鳥は羽ばたけず 仮初めの平和や安らぎは要らない ただ一つだけの温もりが欲しい 哀しみと孤独から癒される あの空の高さを求めていた この鎖を解き放つ その為に必要なのは力ではない 絶望を知っても願い続けてしまう どうかこの冷たさを溶かす事の出来る 日だまりのような温もりを 無償の優しさは何の前触れも無く 不意に降り注いだ この身をきつく縛る鎖が解けて行く ただ暖かな想いによって ただそれだけが心も溶かせるのだろう この大空に傷付いた翼を広げて 羽は微風に触れ癒され軽やかに 籠から飛び立ち青い空を舞う 何より尊き優しさにより……
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