許婚

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私の住むお城は、そんなに大きなお城ではない。 貴族ではあるけれど、家柄も上流ではないし、田舎にお城があるせいか、のんびりとした環境で私は育った。 母の妹が嫁いでできた縁で、私は初めてのパーティーに行った。 私くらいの年の子供たちはいたけれど、知らない子たちばかりで、退屈した私は、お城を抜け出して裏庭でお花つみをはじめた。 「…君、何してるの?」 「きゃっ…」 抜け出した罪悪感で、思わずびっくりして声の方へ振り返る。 「王子…様?」 そこにいたのは、怒ってると思った母親ではなくて、まるで物語に出てくるような王子様…がいた。 「え?王子様?」 「だって、お兄ちゃま、すごく、かっこいいんですもの。お母さまに読んでもらった本の王子様にそっくりです!」 後から聞いた話しだと、無邪気に笑う私に、一目惚れしたクリス様は、絶対にこの子を妻にするんだって決めたんだそう。 上流階級で育ったクリス様にとっては、私のような子は初めての存在だったそう。 みんな変にマセていて、会話からして子供なのに、一人前。 そんなのが嫌でクリス様はあまり同年代の子供とは会話しなかったそう
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