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「長田くんも、元々そういうのすきなのか?」
「いえ。でも、あの子が楽しそうにしているのを見るのはすきです。俺も同じように楽しみたいから、目下勉強中なんですよ」
「へ、へえ。長田くんも尽くすタイプなんだな」
長田くんは飲み終わった牛乳ビンを俺から受け取り、片付けた。
「そんなことないですよ。むしろ俺の方が色々してもらってますね」
長田くんが見せた笑みは、いつもの王子様スマイルではなくニヤッとしていた。
なんだか、それ以上聞いてはいけない気がして部屋に戻ることにした。
二人して暖簾をくぐると、タイミングが悪く萩原がタオルを持ってこっちに向かってきた。
まだ気付いていないみたいで、俺は長田くんの影になるように隠れる。
「どうしたんですか、斎藤さん」
「シッ!黙ってろ。アイツに気付かれるとめんどくさいことになる」
そうこうしていると、アイツはすうっと俺の横を通っていく。
……あ、あれ?全く無視?
「萩原くん、今から風呂?」
長田くんが通り過ぎていった萩原に声をかけた。
「……あ、長田くん。うん、そうだよ。足を伸ばしたくてさ」
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