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「おいっ、さっきは悪かったな」
アイツのTシャツを軽く引っ張りながら言うと、萩原はきょとんとした顔をしていた。
「無視……すんなよ。風呂でもなんでも入ってやるから」
萩原の表情に戸惑いがある。
……え、そんなに俺と仲直りするの嫌なのか?
Tシャツを握る力を強くし、俺は俯いた。
チンッ
エレベーターがきた音が響く。
萩原は俺の腕をグイッと掴み、エレベーターに連れ込まれた。
「先輩……反則です、そういうの」
壁に追いやられ、ぎゅっと抱きしめられた。
体が離された時に見たアイツの顔は、赤かった。
「俺、今コンタクト外しているんです」
…
…
……まさか。
「あの、昔の写真見せたから分かると思うんですけど、俺、すごく目が悪いんです」
……ああ、分厚い眼鏡してたな。確か。
「俺が貴方を無視するわけないじゃないですか」
そうっと頬を撫でられる。
エレベーターが目的地に着くまで、されるがままにした。
「じゃ、じゃあな」
俺は恥ずかしさのあまり、ダッシュで部屋に戻りたかった。
「明日、風呂楽しみにしてますね」
……へ?
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