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「……先輩。俺、そんな態度とられると落ち込むんですけど」
「知らねーよ、そんなことっ!
そんな目でみるなっ!」
俺は萩原の足を力強く蹴飛ばして、克也達がいる部屋に走っていった。
その夜。
俺は仲良くしているのを想像して、何度も「無理だ!」と結論をつけた。
結論をつけたはずなのに、何度も同じことを考えはじめてしまう矛盾に気が付いていなかった。
――――
テニス合宿も今日で最終日だ。
俺は結局朝ちゃんと起きることができず、ボサボサな頭で朝飯を食う。
萩原は相変わらず、さわやかな笑みを浮かべながらせっせと配膳をしている。
練習も今日が最終日ということもあり、熱が入る。
萩原は三年の先輩を打ち負かしたらしく、違うコートで歓声が上がった。
「萩原がいれば安心して卒業できるな」
そう言って、頭をわしゃわしゃされているのが見えた。
普通後輩に負けたらそんな風に笑えないはずなのに。
萩原の人柄がいいため、気持ち良く負けれたみたいだった。
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