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萩原と俺の関係は夏休みに入ってからも、少し変わったかもしれない。
アイツは何回か俺のうちに来ては、ブラバンのCDやスカパラのライブビデオを観たりはした。
俺も萩原がバイトの日は「ケーキを食べに」アイツのバイト先に顔を出した。
たまに二人きりで何時間過ごしていても苦にならない。
何人も彼女はいたことはあるけれど、何時間も過ごせることはそうそうなかった。
「せーんぱい」
食事のときに、平然と俺の隣に座ってきた萩原。
一年坊主は一年坊主と食っていればいいものの。
「ね、後で、二人で会いましょうよ」
「やだよ。俺は克也達とトランプすんだ」
「先輩のためにお菓子作ってきたんですけど?」
ゴクッ。
思わず喉が鳴ってしまう。
萩原は晴海さんにお菓子作りを教わっているらしく、メキメキとお菓子作りの実力をつけてきている。
「残念ですね。それじゃあ、一年坊主で食べますか」
「だ、だめだ!俺が食う」
「じゃ、後で会いましょうね」
萩原はニコッと笑った。
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