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昨日まであんなに嫌がっていたのに、何故か率先して風呂に向かう先輩。
ドキドキしている自分が妙に恥ずかしく思える。
……そういえば、先輩の裸……はじめてみるんだよな。
ドクン
ドクン
緊張で俺はうまく先輩と会話ができない。
「萩原?」
怪訝そうに顔を覗く先輩に、心臓が飛び出るくらい驚いた。
「なんだよ、へーんな顔」
無邪気に笑う先輩に、俺はぎこちなく笑うしかない。
脱衣所に着くと、横で服を脱ぐ先輩。
白い背中、男にしてはくびれた腰……。
……だ、だ、だめだーー!
「す、すみませんっ!トイレ行ってきます!」
「お、おう。じゃあ、俺、先に入ってくるな」
俺はトイレにこもり、ヨコシマな気持ちを悟られまいと、円周率をブツブツ呟き心を落ち着かせる。
……情けないな、俺。
見た目が変わっても、中学の時と変わらないへたれっぷり。
溜息をひとつして、俺は大浴場のドアを開けた。
「おせーよ、萩原ー」
……ぐはっ!
「ちょ、先輩っ!何仁王立ちしてるんですかっ!」
「は?風呂にタオルつけて入る馬鹿どこにいるんだよ」
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