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「ほらっ、お菓子だせよ!」
殴るポーズをとると、萩原苦笑しながら手に持っていたクッキーを俺に渡した。
「残念。もう少し一緒にいたかったのに」
「うるせえ。じゃあな」
去ろうとした俺の腕を掴み、今度は軽くキスをされた。
「せーんぱい。明日はマカロンラスクですからね」
「え、はあ?今渡せよ、おいっ!」
「嫌ですよ。じゃ、また明日ここで会いましょ」
そう言って、マカロンラスク……じゃない萩原は去っていった。
クッキーを口にすると、俺の好きなナッツがたくさん入っていて。
すぐに全部たいらげてしまった。
「うまいんだよ、ちくしょー」
俺は包みを捨て、自分の部屋に戻ろうとした時だった。
「遥、今日はどんな一日だった?」
同じ宿で合宿をしている長田くんが電話をしているのが聞こえた。
様子を見ると、どうやら遥ちゃんが相手のようだ。
「ははっ、俺もさみしい。合宿終わったらバイト先に向かうから。うん」
なんだか、仲の良さそうな会話をしている。
「その日、姉貴いないから。泊りにきなよ」
……なに、嬉しそうに話してるんだ?
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