記憶の片隅に

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「泣かないで?」 私はそれ以外にかける言葉が見つからなかった。 「ウッ…ヒック…ありがとう…」 -私は子供ながらにどうにか泣きやませてあげたくて何かないかと周りを見た。 「あっ、そうだ!」そして私は絵本に挟んであったアネモネ柄の栞を取った。 「これ…私の宝物なの…でもあげる。だから泣くのやめて?」 「いいの?」 「いいよ。大切にしてね?その栞のお花の花言葉はね、"きぼう"なんだって、 意味はよく分からないけど…おばあちゃんが言ってた、 たくさん雨が降った後に暗い雲の間から出る光だって」
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