<断片>-終焉の刻-

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彼女が手を彼のほうに向け、手をすくう動作を見せると彼の周りに大量の水が発生した。まるでスライムのように少年を逃げる隙も与えず包み込んでしまった。 「ぐ……がっ……っぷ…」 彼が空気を求め苦しんでいる。彼女は、そのまま彼を水の塊ごと投げる。 隕石のような勢いで彼は家の壁を次々ぶつかり貫通しながら飛んでいった。数十ゼェール先に飛んでいった彼が動きが停止する。 「……『ラグナリオン』 その瞬間、彼女の手元に金色に輝く大槍が出現した。その槍一本で彼女はこの町を崩壊させたのだ。 「―――『サウザント』」 ―――彼女の周りに千本の金色に輝く複製された大槍たち。その槍は倒れている少年に向けて雨のように発射される。 轟音。そして岩や木々が崩れる音。 大槍で、彼がいた場所は跡形もなく吹っ飛び、クレーターのような穴ができてしまった。まだそこには、電気が通りビリビリと音が聞こえる。 彼女は、それを見るとその場を去ろうとする。 「ま………てよ………」 青年は生きていた。彼は、頭や体のところどころから血を流しながら、歩いていた。 「……まだあきらめないのですか?」 頭の中に響き渡る声。大気全体に声をかけているようだった。 「…あきら……めねぇよ…。…お前を…『救う』…までは…」 「あなたはわかっているはずです。どれだけ頑張った所で私しには『勝てない』ということが。」 彼は満身創痍。彼女は『魔導』をいくらでも出せるほどの『デュメス』を持っている。 「――あなたたちは所詮『落ちこぼれ』。その程度の弱い力では、私たちは止められませんよ』 力の差は歴然。 ――見る限り結果は見えていた。 「ははっ……」 こんな絶望の状況の中、少年は高らかに笑って見せた。 「……何がおかしいのですか?」 「いや……別に…おかしくもなんともない…」 彼は血だらけの顔で、彼女を見つめる。 「…たしかに…俺たちは『落ちこぼれ』だ……。」 ――彼女は見た。 「だ…けどな…。『落ちこぼれ』…にも…。『意地』ってもんがあるんだよ…。」 ――彼の目を。 「だから…見せて…やるよ。お前を…救ってやる…」 ――彼の灯火は。 『落ちこぼれの意地を見せてやるッ!!!!』 ―――まだ、消えてはいなかった…。 ――――――。
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