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ーー駅前 セントラル広場
「もう、駅員さんを困らせるんじゃないの。本当、寝ぼすけなところは変わらないんだから」
「カーリ姉だって、フライパンで人をたたき起こすのをやめようよ。結構痛いからさ…」
彼ーー『カイン=ワークス』は頬を撫でながら彼女に言う。
「しょうがないじゃない。そうしないとカイン起きないじゃない」
「だからってあれは……ってぶぅ!?」
カインが話している途中にカーリが彼を抱きしめる。
「ちょ、ちょっと、カーリ姉…」
「…6年ぶりね。会いたかったわ…カイン」
そういうとカーリはカインを強く抱きしめる。
「……ああ、ただいま」
カインも彼女を強く抱きしめる。
久しぶりの再会に彼らは十分ほど抱きしめ合っていた。
「か、カーリ姉?そ、そろそろ離してくれない?」
「だ~め。まだ、弟パワーを貰ってないから」
「弟パワーってなに!?は、恥ずかしいから!!」
恥かしさのあまりカインはカーリを突き放す。
「ちぇ…つまんないの」
「ぶーぶー言わない。全く…俺はもう子供じゃないんだからな」
「そんな強がっちゃって。私からすれば、まだまだ子供よ」
「そういうカーリ姉は、歳が――」
「…………」
「ごめんなさい。本当にごめんなさい。だから、無言でフライパンを出すのはやめてください。お願いします」
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