序章

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「それが、羽入……」 「察しの通りだ。 彼女の能力は神自身興味深かったに違いないが、性格はどうもお気になさらなかったようだ。 だから古手陸という駒を使い改良して短い期間魅力された。 そして昔のアンタみたいにいろんな表情を観たくなった挙げ句、自分の娘と戦わせて見事に逝って終幕となった」 「……神様の考える事は私程度の者にはさっぱりですが、人として酷いです。 せっかく幸せを掴んだのにそれをどん底に落とすなんて、今の私でも許しがたい」 白衣の青年は両手を強く握りしめた。 その神の行為は、生物のたった1つしかない命を玩具としか扱っていなかった。もはや心が無いのかすら思えてきた。 ―――その矢先、黒衣の青年は人影を見つけた。 その人影を猿の如く木から木へ飛び移って追った為、白衣の青年はそれを追い掛けるのに精一杯だった。 ―――日が落ちてもしばらく追うと、明かりがついた家の近くにたどり着いた。そこで白衣の青年はとある事に気がついた。 「此処ってまさか、古手神社……なのでしょうか?」 「アタリだ。 いつの間にか雛見沢に入っちま ―――っ⁉」 「どうしたのですか?」 暗くてよく見えないが、黒衣の青年は見てはいけない物を見てしまったような顔をしていた。 神社の方に視線を戻すと、その理由に気づいた。 何故なら……… 逝ったはずの女性が幼い姿でそこに居たのだから。
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