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「先生……」
ぐっと長野は唇を咬んだ。
「先生の願い……、
この命に変えても……っ」
「っ!!」
これでもかと、愛乃の目が見開かれる。
長野は嫌だと泣く愛乃の腕を無理矢理に掴んだ。
「いや! いやあっ!
龍馬さんっ!
龍馬さんっっ!!」
女の力で男に敵うわけがなく、愛乃は腕を掴まれて、引きずるように窓から外へ出されてしまう。
「いや――――」
最後に見たのは、こちらに顔を向けて微笑む龍馬と、その後ろで刀を振りかぶる男の姿だった。
1687年11月15日、坂本龍馬、暗殺――
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