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そんなある日 友人から、ある噂を耳にすることになった。 友「彼に恋人ができたらしいのよ。その人、同じ学年で美人だって」 興味などなかった…。 彼にどんな人が恋人になろうと僕には関係なかった… ――――そう その光景を見るまではそう思っていた。 いつものように、ただすれ違うだけなのだが、僕にとって強烈だった場面。 ――――顔に出さないようにするのが精一杯だったんだ。 この格好になって、唯一救いがあったのは、この時でも何事もなく振る舞えることだった。 彼の腕の中には、僕と同じくらいの身長の女の子が楽しそうに話していた。 なんとも愛らしい顔をしていて、そこだけ賑やかな感じだった。 髪が長く、ふわりとした毛先で人形のような可愛い雰囲気をもった少女。 思わず女の子を意識してしまう。 僕の心の中で眠っていた、もう一つの心が芽生えようとしていた。 怖かった。 自分の心を出さないようにするのが精一杯だったんだ。 僕は自分から、この心を失うために、あらゆることを制御したんだ。 人からどう思われたいかを考えながら振る舞っていたのに、たったこの光景を見ただけで、崩れていくなんて… 彼は人に対して優しく接する… どんな人でも…〓 だから、こんな事になるのは、前から分かっていたのに… 馬鹿だな 彼と彼女の光景は学校の注目の的になった。 中には陰口をたたく人もいたが、それは一部分の人だけだった。 大多数の人は、受け入れ結婚式に招待してねと冗談を言う人もいた。 当然だよね。 時間が経つにつれ、生徒会長の彼と可愛い彼女とでは、誰も叶うはずないと思い諦めるしかなかった。 もしも、彼女に対抗しようと思う人がいたら、ファンクラブまで出来ている彼女に挑もうとしているのだから、平穏な学校生活をおくることはできないだろう。 彼女は裏表がない性格で、言いたいことはいうので外見から違った姐御肌でクラスからも頼りにされていたからだ。 同性からも異性からも好かれるタイプ おまけに生徒会副会長… 身近にいて、お互い好きになるのも時間の問題だったのだろう。
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