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咲花村
言の葉が消えた。いや、発することが許されないような、そんな感覚。彼女等に連れてこられた村、そこは田舎も田舎、ド田舎だった。どこまで続いてるかもわからない道、家はポツポツ程度、おまけに井戸まで。だが、その壮大な緑、自然に俺は言葉を失った。
はるか)「なに黙りこんじゃってるの?さっ、着いたわよ。ここが、咲花村よ」
一陣の風が吹いた。
「ありがとう、やっと村に着いたよ。」
ゆかり)「いえいえ、困ったときはお互い様です。」
ことは)「そーゆーこと!」
『優しいなあ。ちょっと、ついでに知ってるかな?』
「ついでになんだけど、高橋って家、何処にあるかわかるかな?」
ゆかり)「高橋源次郎さんでしょうか?」
「そう、そこ!」
ゆかり)「でしたらすぐ近くですのでご一緒に行きましょう。」
「ごめんね、何回も。」
ゆかり)「お互い様、ですよ。」
『なんて優しいんだ。都会じゃありえないぞ!』
「ありがとう、ほんとに助かるよ。」
ゆかり)「いえいえ、では行きましょう。」
ことは)「ごうごうれっつご~!」
はるか)「ま、しょうがないわね。ななは大丈夫?」
なな)「大丈夫…。」
「みんな、ありがとう。」
そうして、俺は高橋源次郎…、俺の祖父のうちに向かった。
「いいか、京也、村に着いたら高橋源次郎という人のうちに泊めてもらいなさい。話しはつけてあるから。」
先日、親父から言われ、高橋源次郎宅へ向かえ!とのことだったが、地図に載せてないというバカな、けれど死活問題な点で悩んでいた。
ホントに彼女等にあってよかった。このことはとりあえず秘密に。
ことは)「さあ、着いたよお。」
「ここか…。」
家…まあ家なんだろうけど、これが木造建築ってやつなんだろうか?古めかしい木材で家が造られていた。
「みんな、今日はありがとう。」
ゆかり)「いえいえ、それでは失礼しますね。」
ことは)「ばいっばあい。」
なな)「また…。」
はるか)「それじゃあね。」
「うん、またね。」
彼女等を見送ったあと、
『よしっ!』
ピンポ~~ン。
家のなかから足音がする。それはだんだん近づいてきて。
?)「あら、京也ちゃん?」
「は、はいっ。そうです!」
つい力が…。
?)「今、おじぃちゃん出かけてるから、どうぞ上がって。私のことはおばぁちゃんでいいわよ。」
なんかおばぁちゃんにしては綺麗な人だ。若い頃美人とか?
「し、失礼します。」
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