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そんなある日――――――
「~~♪」
「御館様、今お帰りになられたのですか?」
「おぉ、幸村か。あぁ、今帰った。」
何故だか御館様が上機嫌である………
「……?御館様、城下町で何か良いことがありましたか?」
「それがな、今度、城下町で会った娘をわしの女中として引き取ることにした。」
ほぅ……、御館様が娘を引き取る、しかも御自分の女中にまで………?
どういうことだ…………?
「御館様、その娘はそんなに幼いのですか?」
俺はその娘……いや、その幼子を御自分の養子として引き取ったのだと思った。
「いいや、立派な女子であるぞ。御主と同じ年齢であろうかな。」
立派な女子……?
しかも俺と同じ……?
ま、まさか……!
「まさかとは思いますが…、御館様、その娘を女中として引き取った後、御自分の正室にしようとお考えですか?」
「鋭いな、幸村。そのつもりよ。」
……なるほど。御館様についに正室が…。
しかし御館様にここまでさせる女子とは……
一体どれほど魅力のある方なのか。
……まぁ、御館様が幸せになるなら構わないのだが。
「そういえば、幸村。御主は妻を持たぬのか?」
「御館様、何度も申し上げているように俺には心に決めた方がいるのです。それ以外の女子には、拙者は興味が持てませぬ。」
俺はキッパリと答えた。
これは本当のことなのだから。
その相手こそ、昔出会った彼女、あの名前も思い出せない夢の中の女の子であり、もう会えぬような相手なのだ―――――
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