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もう夏か。
随分と暑くなったな。
そう思いつつも私は、青葉高等学校のブレザーを脱ごうとはしなかった。ちなみに言えば、第一ボタンすら開けていない。
言ってる事と思ってる事が噛み合わないのはいつもの事だった。
教室が生徒達の話し声で騒がしい中、帰りのHRは終わりを迎えた。
「きりーつ。」
その掛け声に反応してクラスメート達は渋々立ち上がり、
「れーい」
礼をする。
『さようなら』に合わせて私が鞄を持って出ようとした瞬間。
あぁ、今思えばここから始まっていたのかもしれない。
「相川さん。」
クラスメート、笈川さんから声がかかった。
彼女とは別に友達じゃない。顔は知ってても互いに話し合う事などもない。だからきっと、顔見知り以上知り合い未満って所の仲だ。
「…はい?」
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