∮プロローグ

2/4
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
もう夏か。 随分と暑くなったな。 そう思いつつも私は、青葉高等学校のブレザーを脱ごうとはしなかった。ちなみに言えば、第一ボタンすら開けていない。 言ってる事と思ってる事が噛み合わないのはいつもの事だった。 教室が生徒達の話し声で騒がしい中、帰りのHRは終わりを迎えた。 「きりーつ。」 その掛け声に反応してクラスメート達は渋々立ち上がり、 「れーい」 礼をする。 『さようなら』に合わせて私が鞄を持って出ようとした瞬間。 あぁ、今思えばここから始まっていたのかもしれない。 「相川さん。」 クラスメート、笈川さんから声がかかった。 彼女とは別に友達じゃない。顔は知ってても互いに話し合う事などもない。だからきっと、顔見知り以上知り合い未満って所の仲だ。 「…はい?」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!