∮プロローグ

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「春木先輩がね、放課後屋上に来るようにって言ってたよ。」 "春木先輩"?… 誰だっけ?……。 私は人を覚えるのが正直得意じゃない。 だから、先輩の顔と名前も一致しなかった。 そんな私に気づいてか、笈川さんは彼を説明するには十分過ぎる事を言った。 「ほら、校庭のフェンスの隣の柱の上にいつも座ってる……。」 ……あ、思い出した。 『わかった』と、手を合わせる私に、彼女は優しい笑みを見せると、『じゃあ、伝えたからね。バイバイ。』と去って行った。 春木先輩。 話した事なかった気するけど……。 なんの用だろう。 まぁ、とりあえずくだらない用事だったら帰ればいいか。 頭の中で考えながら私は屋上へ続く階段を上って行った。
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