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『キィッ』と錆びた音を立てて扉が開き、眩しい光が差し込む。
眩しくて眩んだ目を細めながら、私はゆっくりと、屋上の中央へ歩いていく。
「先輩ー?」
辺りを見回しても、人影はない。
無論、返事もない。
「ま、いっか。居ないなら帰れば。」
小さく呟いて、私はまだ来て5分……いや、2分も経っていない屋上から去ろうとする。
そして、屋上の扉のドアノブを掴んだその時。
「あ、帰っちゃダメダメ。用事がすんでない。」
と、どこからか声がかかった。
普通は、こういう時、驚いて多少、焦ってたりするんだろう。
が、私は違った。
呆れた顔で、冷静に後ろを向きながら
「何処ですか。さっさと出てきて用件を済ませてください。」
と、屋上の何処かに潜む先輩に一言言うだけ。
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