∮用件

2/10

18人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
『キィッ』と錆びた音を立てて扉が開き、眩しい光が差し込む。 眩しくて眩んだ目を細めながら、私はゆっくりと、屋上の中央へ歩いていく。 「先輩ー?」 辺りを見回しても、人影はない。 無論、返事もない。 「ま、いっか。居ないなら帰れば。」 小さく呟いて、私はまだ来て5分……いや、2分も経っていない屋上から去ろうとする。 そして、屋上の扉のドアノブを掴んだその時。 「あ、帰っちゃダメダメ。用事がすんでない。」 と、どこからか声がかかった。 普通は、こういう時、驚いて多少、焦ってたりするんだろう。 が、私は違った。 呆れた顔で、冷静に後ろを向きながら 「何処ですか。さっさと出てきて用件を済ませてください。」 と、屋上の何処かに潜む先輩に一言言うだけ。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加