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「影井!!どうした?……また親の事か……お前にも抱え込んでる過去があるんだよな。でも今は前を見ろ。でないと死ぬぞ」
そう言ってきたのはフレイン中佐だった。中佐はいつも俺の心配をしていた。戦うときも俺中心に考えて陣形を組む……あの時だって――
その時―――――――
「艦内にいる全ての配備兵に連絡する。本艦北北西上空に敵部隊を確認。穿空機動隊及び特務戦艦部隊は第一戦闘配備に着け!!」
出撃のため、けたたましく轟音を響かせてハッチが開く。ブリッジではカタパルトの調整が着々と進んでいた。
「フレイン中佐、第七ゲート出撃可能です。」
「影井大尉、第五ゲート出撃可能です。」
次々と空へ舞い上がる戦闘機達。相手の戦闘機も交差し、爆散していった。戦場では命が一瞬で散ってしまうが影井は爆散する戦闘機をみる度に唇を噛み締めた。
「……どうして……どうしてッ!!命を捨ててまで戦わなければいけないんだ!?」
戦闘機の中独り叫ぶが外には聞こえない。それに旋回Gが体を締め付ける。その後も着々と追撃を繰り返していたが、影井があることに気付く。
「敵が……怯まない?どういう事だ?もう50機以上追撃したぞ!?」
そう。あれだけの追撃数を誇るウルクニア軍に対し一向にシルヴィア軍が怯まない。通常なら50機も墜とされれば軍としては大損害である。シルヴィア軍が怯まない理由。それは――――――――
「…!!全軍に通告する!!北東200m付近に無人戦闘兵器!!数は30程度!!」
無人戦闘兵器。人類が作り上げた“やってはいけない殺し方”を遂行する兵器。操作するものは傷つかず相手となるものが死ぬ――自ら手を下さずに遠隔操作で人を殺す。そんな兵器をシルヴィア軍は作り上げてしまった。
あっという間に戦闘機まで近寄り応戦した。
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