第一章 第一話 終わりからの始まり

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ミィナさんの料理はどれも絶品だ。 ただたまに母さんの味が恋しくなることもある。 「あら? お口に合わなかったかしら?」 「い、いえ! とても美味しいですよ!」 「そうですか? 先程暗い顔をしておらしたのでつい……」 ミィナさんが若干暗い顔になると、横にいたナギから殺気が溢れ出たのを感じた。 「あぁ、そのミィナさん? 先程暗い顔した意味ですが、母さんの料理の味を思い出していたからですよ」 「お母様の? どういった味だったのかしら?」 その言葉に思い出す母の味……。 酸っぱくなったモヤシ焼きそば。 ジャガイモの芽のサラダ。 嫌な臭いのする牛乳。 時間が経ったカニ、その他エトセトラ……。 あ、あれ? 「い、嫌な思い出しかない……」 「あらあら……」 特に、ジャガイモの芽サラダとカニはやばかった。 あれで俺は救急車を体験したよ。 何故か母さんはピンピンしていたが……。 「そう言えば、この料理って何を使ってるんですか?」 ふと生まれた素朴な疑問をミィナさんに問いかけたのだが……。 「うーん……、言っても分からないと思うわよ?」 「あ、いえ、やっぱりいいです」 この言葉を聞いた瞬間、何故か俺は聞いてはならないと思ってしまった。
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