第一章 第一話 終わりからの始まり

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……頭が痛い。 というより全身が痛い。 まさか扉が行き成り開いて吹っ飛ばされるなんて聞いてない。 というか此処は何処だ? 見たところ道場みたいな感じなんだが……。 「おや? 少年起きたのか?」 「え? 誰ですか?」 声のした方に振り向くと、其処に居たのは全てを飲み込むような黒い髪。 それが腰まで綺麗に伸びており枝毛などないだろう。 そしてそれと同様の色の瞳を持っていて、見つめすぎると取り込まれそうだ。 「どうした? そんなにボーっとして……。 どこか調子が悪いのか?」 「あ、いえ! 体の方はちょっと痛みますが問題はないです」 俺がそう答えると目の前の彼女はニッコリと笑顔になると 「それはよかった」 と言い、スタスタと壁にかかっている木刀を手に取りこちらに投げ渡してきた……。 え? 「あの、一体……」 「君が登くんだろ? ナギ殿に君を鍛えてくれと頼まれていてな。 取り敢えず君の実力がどれくらいか知りたいから木刀をとれ」 「えっと、でも俺剣道なんかやったことないんですけど……」 「そんなことぐらい見れば分かる。 私が知りたいのは、君にどれだけセンスがあるか、ただそれだけだ。さぁ、やろうか……」 俺は無言で木刀を手に持ち、目の前の人に向けて構えをとった。 と言っても、先程俺自身が言った通り剣道の経験などある筈もなく、この5秒後俺は道場から外に吹き飛んだ……。 何故か木刀が半分にスパッと斬られていたのを俺は見逃さなかった。 そしてそれと同時に、なんで見逃さなかったんだと後悔したのは言うまでもない。
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