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そんな木刀を振り回す日常の中、俺はふとした疑問が浮かんだ。
この浮かんだ疑問は本来もっと早く気付くべきなのだが……。
”俺って死んだのに肉体どうなってるんだ?”
つまり、死んだはずの俺に肉体などある筈もなく、現在は幽霊のようなものの筈なのに、物は食べられるし、木刀を振り回せるし、痛みも勿論感じる……。
つまり肉体もないのに、まるで肉体があるような現象に陥っている訳だ。
「という訳なんですが、ナギ分かりますか?」
「登君、私が考えてる事を読み取れる事を良い事に、喋る事を省略したね」
「だって読めるじゃないですか」
「……まぁいい。 えとその疑問を抱くのは最もだと思う。 というか遅いぐらいだね」
「遅かった理由は、色々急展開すぎて身近な事に気付かなかったからだと思います」
俺がサラッと言うと、ナギは苦笑いし、そして話し始めた。
「確かに、ここに来た時の登君の状態は幽霊と一緒だね。 正確に言うと、器の無い魂だけかな?」
「考えは合っていたと」
「まぁね。 じゃあお腹が空いたり物が持てたりする理由だけど、簡単に言うと、魂が肉体の代わりの器を持ったからかな?」
「は? 肉体以外?」
俺は自分の腕の皮を摘まんだり、引っ張ったりするが、普通の肉体にしか見えない……。
「いや、成分構造は失う前の肉体と同じだよ」
「じゃあ一体何が……。」
「ここ天界には神気という物が満ち溢れている」
ナギが神気と言うと、登はありえないと思いながら一つの仮説を立てた。
”俺の魂が神気を集めて肉体を再び創った?”
「その通りだね。 本来出来る訳ないんだけどね」
「俺、軽く人間辞めてないですか?」
「うん、神気集めて体を再構成する魂なんて聞いた事ない。
まぁ、君に眠ってる6つの力の所為だろうね」
今一度言おう……。
こんな規格外の能力なんていらないから、さっさと輪廻転生させてください。
「うん、それは無理だね。 君の魂の一部みたいにくっついてるから、外すとなると君の魂消滅だね」
「畜生……」
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