第零章 第零話 夢

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という、濃厚な夢を見ました。 「……はぁ、何て言う夢を見るんだ俺は……」 この少年、今まさに先程の夢を見ていた奴である。 少年が先程の夢を思い出し、頭をガシガシと掻いていると、下から彼を呼ぶ声が聞こえてくる。 「登、早く降りて来なさーい!! 朝ご飯が冷めちゃうわよ!」 「母さんゴメン! 今直ぐ降りるよ!!」 この少年、名前は“佐々木 登(ササキ ノボル)”。 容姿は何処にでも居るような顔立ちに黒髪。 座右の銘は“普通が一番”という普通が取り柄の極々普通の高校生である。 「母さん。 納豆何処?」 「冷蔵庫の一番上に無い? そこに無かったら在庫切れね」 「うーん……。 あっ、あった!! って、この納豆ゾンビ化しているじゃないか!! なんでこんな納豆が未だに冷蔵庫の中に保管されているんだよ!!」 「あー、最近整理していなかったわね。 登、悪いんだけど納豆は諦めてね?」 「はぁ……、まぁお茶漬けでいいや」 ゾンビ化した納豆は余り家庭では見られないけれど、それを抜かせばごく一般的な日常風景だろう。 登が、お茶漬けをサラサラと口に運んで食べ終わり、ご馳走様と言った後食器を流しに運び、そのまま時計を確認する。 「さてと、時間は7時10分か。 うん、余裕だな」 「あら、その時計止まっているわよ?」 「……え?」 恐る恐るズボンの中の携帯を取り出して時間を確認すると……。 「7時50分……。 学校の校門が閉まるのは8時ジャスト、ここから学校まで歩いて20分……」 「全力で行かないと遅刻決定ねぇ」 「行ってきまぁぁぁぁっす!!」 物凄い勢いで玄関から飛び出すと、そのまま猛ダッシュで学校に走って行き、その姿は直ぐに見えなくなったのであった。
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