第一章 第一話 終わりからの始まり

2/25
前へ
/178ページ
次へ
ハァッ、ハァッ! オウェッ!! やばい全力疾走しすぎてお茶漬けが口や鼻からリバースしそう……。 だけどまぁ、そのおかげでもう学校の目の前だし時間も……。 「……俺の目はもう駄目かもしれない。 俺の携帯には7時59分50秒と出ているんだ。 そして俺は今学校前の赤信号、って! 独り言ぼやいてるうちに8時過ぎたぁぁぁぁ!!」 俺と同じ心境なのだろう、周りには俺と同じように叫ぶ者や落胆する人がチラホラと何人か居たのが見えた。 そして俺の目の前では、学校の門が容赦なく閉められていくのが見えた。 否、閉め終わったのが見えた。 「……もう諦めて、今は息を整えることに集中しますか」 スーッハァーッっと、登は目を閉じ深呼吸していると横から誰かが飛び出して行くのが分かった。 「誰だ? まだ赤の筈なのです……が?!!」 俺が見た光景……、先程横から飛び出したと思われる少年が横断歩道に居たと思われる子供を突き飛ばし、そして前と後ろから迫って来ていたトラックに今まさに潰される瞬間だった。 「……あっ?!」 登が何か言うその瞬間には、トラックは轟音と共に衝突し辺りにはガラスの破面や多分だが少年の血が雨の様に降り注いだ。 「……こんな事ってないよな……」 辺りには、悲鳴……、泣声……、吐く音……、様々な声や音が響いていた。 登はただ目の前で起きた現実に呆然と立ち竦むしか出来なかった。
/178ページ

最初のコメントを投稿しよう!

707人が本棚に入れています
本棚に追加