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アリの観察をしていると、不意に登が喋り出す
「マオ、アリって甘い食べ物大好きだよな?」
「そうじゃな。 昔妾が弱い頃、アリの魔物が出た時飴を投げて気を逸らし逃げた思い出があるくらいじゃからな!」
その返しに首をウンと頷いた後
「……実は俺の母さんが昔作ってくれた砂糖を溶かしただけの飴があったんだ」
「唐突に何を言うかと思ったが、シンプルな飴じゃな」
「それで俺は母さんの料理の腕前を知っていたから、面白半分でアリに上げたんだ」
「……妾は登の母上の料理の腕前を知らないんじゃが?」
「あぁ、簡単に言えば医者の世話になるくらいだよ」
「それはヒドイのぅ……」
登が母親の料理の味を思い出したのか、少し溜息をついた後
悲壮感を漂わせる顔立ちとなり
「次の日、アリの姿が消えて居たんだ……」
「……え?」
「何処を探してもアリの姿が見つからなかった。 三十分ほど辺りを探してやっと見つけたんだが……」
「ふむ」
「其処にはアリの死骸の山が築かれていたんだ……。 雑草とかに隠れていたけど、地面には横たわるアリの死骸……。 危険と判断したのか卵を持って引っ越しをしていたが力尽きたアリの死骸達……。 そして俺の目の前でフラフラと歩きながらなんとか逃げようとして、俺が手を差し出した瞬間パタリと倒れそのまま動かなくなったアリ……」
「何と言うおぞましい光景……」
「俺は子供ながら凄まじい罪悪感を感じ、アリの死体達を一か所に集め墓を作り供養をしたんだ……。 それから俺は命の儚さを悟ったよ……」
「そんな子供時代の思い出嫌じゃぁっ!!」
あれから俺はアリを見る度にあの光景を思い出してしまうんだよな……。
不思議と最期に見たあの目の前で倒れたアリが、お前は悪くない……。 そう言っているように見えたんだ……。
だけどそれでも俺が原因だったんだ! 割り切れないんだ……。
ラストアリ……、今でもお前は俺の事を悪くないと言ってくれるのかな……
「登お願いじゃから戻ってきてくれ! 雰囲気が恐ろしく重いんじゃ!! 何かしらんがアリたちがお前を見上げてジーッとしているのが怖いんじゃよ!! って、アリが自分たちのエサを登の前に置き始めた?!」
「……慰めてくれるのか? くそ……、目が霞んで……!!」
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