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廃墟となったビルの一室に身を隠す二人。
シスタージル、と呼ばれたロボットは赤毛のボブに吊り目の気の強そうな感じの美少女で、左肩にスペード、右肩にハートの刺青が彫られている。
手駒達の間では「ガンシスター」と呼ばれる銃を得意とするシスターである。
「アタシんパートナーがほんっっと臆病なヤツでさあ。アタシが守ってやるってえのに、部屋ん中籠ってガタガタ震えてやがる。アタシとてめえの命は運命共同体って言っても微塵も信じやがらねえ。負けりゃ全てが終わりだ。これはそういう遊戯なんだ。口を酸っぱくして何回も言ってんのにさ。おいローズ、何で笑ってんのさ?」
ローズは口元に手を当てながら言った。
「私のパートナーも全く同じよ。布団を被って出て来ない。寝てても夢なんか叶いっこ無いのにね」
「チッ…アンタもアタシもついてないね。ま、今に始まった事じゃないからね。だからアタシ達は今回もこうして遊戯場にいる」
拳銃をクルクル回しながらジルが言う。
「魔弾…」
ナイフを布で拭きながらローズが呟く。
「シスタージュリアンヌがあの最終型を得る為にどれだけパートナーと分かりあったのかしら?」
「アレは…SE値が限界を突破しないと得られない姿だ。それこそ、アタシ等と人間が垣根を超える何かが無いとああはなれない」
「一番、愛とかそういうヒトの持つ感情を小馬鹿にしてきた人、そう思ってたんだけど。認識違いだったのかしらね」
ローズの言葉に鼻を鳴らすジル。
「だから、よ。この世界で出会った人間様があの腹黒女を覚醒させた。人を信じない、標的としか認識しない、孤独なスナイパーが初めて知ってしまったんだ。そこで願いは叶っちまったんだ。ああ、クソ、羨ましいなあ!羨ましいよ!」
「それが…貴女の願いだものね」
「ハ…アンタもでしょうが!」
ジルはホルダーに銃を収めて立ち上がる。
「それが欲しい為にアタシとアンタは戦ってきた。手に入れば抜け出せる。手駒って牢獄からね」
「望むモノは同じ。ただ、パートナーが敵対してるから、私達も敵対してきた。そしてそのパートナーはみんな屑だった」
ローズもナイフを鞘に収めて立ち上がる。
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