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「ほんと…男運無いよねえ、アタシ達」
「全く。次こそは…いや、そんな事考えても詮無いか」
「同調するヤツが現われないとアタシ達は起動出来ないからね。そういうルールだから。まあお陰であの電波女と争わずに済んでるんだがな」
「シスターキリエの事?確かに彼女は話の通じる娘じゃないものね」
「自分とパートナー以外は全て抹殺対象。ほんとアイツとシンクロする人間がいなくて助かってるよ。さて…お喋りは終わり」
二人はビルから外に出る。
見上げると、有機体と機械が融合した禍々しいフォルムの巨大なロボットが街の中央に鎮座していた。
周りには妖精型のロボットが飛び回っている。
全方位迎撃システム「ピクシー」。
それを突破しても、全身くまなく配置されているルビーアイから発せられるレーザーが接近者を撃ち貫く。
『あら…まだ生きてたの?シスターローズにシスタージル』
ジュリアンヌが二人の姿を発見して語りかける。
『どう?降伏しない?私、無駄な殺生は好まないの。旦那様もそういうのはお嫌いだしね』
「へ…旦那様って言葉がアンタの口から出て来るとは思わなかったよ、シスタージュリアンヌ」
鼻の下を擦りながらジルが言う。
『バーナード様は私が終生お仕えすると決めた御方…この日陰者の暗殺者を妻にすると言って下さったの。今まで誰一人、この私にそんな言葉をかけてくれる人間はいなかった。私の容姿を気に入っても、私の中身を受け入れてくれる人間はいなかった。だから…私は私と旦那様の為に、今回の勝利の座を頂く事に致しますわ』
歓喜に打ち震えるジュリアンヌにローズは言う。
「貴女は勝利して、何を得る?それは私達に益のある事なのかしら?」
『その身体のまま、私と旦那様が作る理想の世界に生きる。それ以上、何か必要なの?』
ジュリアンヌの言葉にローズとジルは笑みを浮かべた。
「じゃあ、降伏する訳にはいかないわね」
「そうさ。だって、アタシ達の望みは…」
ローズはナイフを、ジルは拳銃を抜いて、ジュリアンヌに向かっていった。
そして、シスタージュリアンヌは勝利し、今回の遊戯は終幕を迎える。
その後の地球の行方?
知った所で君に何か出来るのかい?
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