4人が本棚に入れています
本棚に追加
ジジ…ッ…ザザザ…ッ
そんなノイズが空間に響き渡り、アイツが現われた。
小脇に抱えた紙袋からナッツを取り出して、ボリボリ囓りながら俺達を見下ろすあの女。
服装や容姿は例えるなら不思議の国のアリスに出て来るアリスの様な。
但し、飛び切り兇悪なアリスだ。
この女の長演説で分かったんだが、これは全世界規模で起きてる事みたいだ。
つまり、全人類がこの兇悪アリスに見下ろされてるって事だ。
『…このピスタチオって、殻が付いてて実に食いにくいな。ほんと食いにくい。だがね、苦労をしてでも食いたい味なんだな。貴様等はどうかな?』
時折、足を組み替えながら、アイツが話をする。
気付いたんだが、アイツ下に何も履いてないぞ?
何かそういう映画、昔あったな。
『戸惑うのも無理は無い。怯えるのも無理は無い。貴様等下等な有機生命体は未知のモノに恐れを抱く。それでいい。それは堪らなく美味だ。あ~、言っておくが、これは悪戯とかそういう類じゃないぞ?証拠を見せようか?』
アイツがガリッと音を立てて、ピスタチオを口に入れると同時に、この現象の偵察に現われた戦闘機が爆発四散した。
『ナイスファイヤーワークス。爆発炎上する様は非常に、非常に俺の心を震えさせる。たが、もっと好きな事がある。虫けら共が足掻き、這いずり回り、もがく姿を眺めながら、時折ちょっかいを出す事だ。分かるかい?分からないかな?虫けら共』
そう言ってニマァと笑う兇悪アリス。
虫けら?虫けらって言いやがったのか?
TVでは緊急特番が流れていて、世界の政府首脳が各々声明を発している。
曰く、某国の陰謀から果ては地球外生命体の侵略まで。
だが、俺には甚だ滑稽に聞こえた。
こんな時でも世界は足並みが揃わないのか?
すると、アリスは溜め息を吐き、言った。
『言っておくが、俺は貴様等如きの陰謀の道具でも無いし、宇宙人でも無いぞ?まあ…そんな下らん事を言う奴は』
アリスが指をパチンと鳴らす。
『消 え ろ』
それと同時に全世界の首脳閣僚が命を失った。
『次は抵抗する手段も消しておくか。例えば核なんて詰まらぬモノに俺を倒せるという幻想を抱いて、俺の遊び場を汚されては堪らぬからな』
最初のコメントを投稿しよう!