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静嵐が無視して歩き出したので、慌てて霄瓊も後に続いた。
その途中で落ちたままのコートを拾い上げて羽織る。
そうしている間にも、静嵐の姿はどんどん遠ざかってしまう。
いつものように小走りで追いながら、霄瓊は目を伏せた。
大きな背中は、壁のように近付く者を拒んで。
追い掛ければ追い掛ける程遠ざかる気がして、不安になる。
絶対に縮まらない距離が、二人の間にはあるのだ。
それでも自分はあの人を呼び、契約を交わした。
嫌われているのも、早く壊れれば良いと思われているのも承知の上だけれど。
簡単に思い通りになりはしない。
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