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霄瓊の気配が部屋から消えてしばらくして、静嵐は身を起こした。
眠りは常に浅く、霄瓊が声を掛けて来た時にはとうに目が覚めていた。
寝ている振りをしていたのは、返事をするのも煩わしかったからだ。
着替えをしながらふとテーブルの上を見ると、今日もきちんと朝食が用意されていた。
食べるのも寝るのもそれ程必要ではない体だと分かっている筈なのに、霄瓊は何故か律儀に食事を作る。
静嵐も自分の物は自分で調達するようにしているが、質素な生活の中でいきなり食費が倍になったら大変に違いない。
それでも、あの娘は何も求めて来ない。
何の見返りも無く与えてばかりで満足する、そんな天使のような人間などいる訳が無いのに。
まるで見せ付けられているようで、苛立たしい。
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