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後ろから小走りで、少女が懸命に付いて来る。
そう分かっていても、静嵐は歩みを緩めようとはしなかった。
今まで何人もの女と同じ関係を持って来たが、此処まで合わないと思ったのは初めてだ。
あっさり自分を受け入れて、必要無いと告げても毎日まめに食事を作る。
更にこちらの用事にも文句一つ言わずに付き合う。
どんなに拒絶を態度で示しても、何でも無い事のように接して来て。
それでいて彼女は自分の望みを口にしない。
願いがあるから呼んだのだろうに。
そんな素振りさえ見せないから、余計に腹が立つ。
多分この少女と自分とは、思い切り相性が悪いのだろう。
そう結論付けて、静嵐は立ち止まった。
新聞に書いてあった場所は、この辺りの筈だ。
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