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鳥を何十倍にも大きくしたような、巨大な生物。
羽ではなく、刃のような針を持つ翼。
獲物を求める獰猛な目。
空を飛び歌う鳥とは似ても似つかない姿。
間違い無い、これは。
体中の血を沸き立たせる程熱く重い鼓動が響いて、視線だけを僅かに後ろに向ける。
息を切らして駆けて来た霄瓊が状況を見て立ち止まり、素早くコートを脱ぎ捨てる。
下に着ているのは季節に合わない袖の無いワンピースで、彼女の腕が冷たい風に打たれて白く浮かび上がる。
その左の上腕部に、黒色の紋様があった。
黒い翼のような紋様は、刻印のように白い肌に刻まれている。
(……早く、命じろ)
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