暗黒の翼

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霄瓊がそっと歩み寄り、一見何も無い空間を見詰める。 「……此処に綻びが?」 「ああ」 静嵐は頷いて指で空中の一点を示し、そこからゆっくりと下ろした。 「此処にある」 「綴じられますか」 一応質問の形だが、これも命令だ。 先程よりも抑えられた力が体の内に放たれる。 「当然だ」 言い切って、指でなぞった空中を睨む。 もう二度と此処からあんな生き物が入り込まないよう、力を綻びに注ぎ込んで綴じ合わせる。 本来あるべき姿に。 「……終わった」 短く告げると、霄瓊が小さく息をつくのが分かった。 力を使う方よりも制する方が気力を使うから、疲れるのは当然だ。 それでも霄瓊は静嵐に向かって頭を下げ、微笑んで言う。 「有り難うございます」
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