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強烈な既視感が俺を襲った。
――――この子供に、見覚えがある。
顔だけじゃない、姿そのものに、見覚えがある。
―――――頭の中で何かが弾けたような閃きと共に、背筋がぞわりと逆立つ。
それを合図にしたかのように、目の前に立つ子供が、子供らしくない嫌な笑顔を浮かべた。
―――――そうだ、そうやって不気味に笑ってお前はいつも言うんだ。
「ぃよーうっ!誰かと思ったら又次郎じゃねぇかぁ!
相っ変わらずしけたツラしてんなぁ!」
で…
「出たああああぁぁ!!!!!!ぎゃああああああああぁー!!!!!」
最悪の一夜だった。
最愛の彼女にフラれ、仕事はボロクソ。
―――加えて、昔死んだ同級生が、化けて出るときた。
俺は手に持っていたパンパンのレジ袋やら仕事用の鞄やらを投げ出して、転がるようにしてもと来た坂道をかけ降りていった。
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