第四章

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「せやから俺は最初から結婚はするつもりない!て言うてたんや… せやけどアイツ…秋穂はそれでもええて言うてくれたし、こんな俺でももしかしたら変われるかもしれん思て、結婚した。 けど…やっぱり無理やった。 俺はお前ら側の人間にはなれんかったんや…」 工藤さんの話を聞いていたら、なんだか悲しくなった。 こんな人が本当にいるのかと。 小嶋だけじゃ…小嶋の努力も結局は無駄だったのかと。 そんな事を考えていたら、ハンドルに凭れかかっていた工藤さんが顔を上げて、体ごとこちらに向き直った。 「勝手な事言うてるのはわかってる!けど、お前にしかこんなん頼まれへんさかいに…聞き入れたってくれへんか? 俺と別れた後、秋穂の力になったって欲しいねん!頼むわ!」 頭を下げた工藤さんは、やたら小さく見えた。 .
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