234人が本棚に入れています
本棚に追加
「せやから俺は最初から結婚はするつもりない!て言うてたんや…
せやけどアイツ…秋穂はそれでもええて言うてくれたし、こんな俺でももしかしたら変われるかもしれん思て、結婚した。
けど…やっぱり無理やった。
俺はお前ら側の人間にはなれんかったんや…」
工藤さんの話を聞いていたら、なんだか悲しくなった。
こんな人が本当にいるのかと。
小嶋だけじゃ…小嶋の努力も結局は無駄だったのかと。
そんな事を考えていたら、ハンドルに凭れかかっていた工藤さんが顔を上げて、体ごとこちらに向き直った。
「勝手な事言うてるのはわかってる!けど、お前にしかこんなん頼まれへんさかいに…聞き入れたってくれへんか?
俺と別れた後、秋穂の力になったって欲しいねん!頼むわ!」
頭を下げた工藤さんは、やたら小さく見えた。
.
最初のコメントを投稿しよう!