第五章

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でも不思議な事に、この事については全く何も感情が湧いてはこなかった。 "無"だった。 悔しいとか怒るとかそんな負の感情もなければ、妊娠してよかったね…なんて事ももちろん思うはずもない。 全くの"無"だった。 相手に関心がなくなれば、こんなにも"無"になれるんだと僕は初めて知ったんだ。 「あ、別に俺はなんて事ないよ? もう離れて随分時間が経ってるし、へぇ~って感じかな… でも小切手は送り返すつもりなんだ…」 「そう…なんや。 なんかそれも悲しいなぁ…」 小嶋は呟くようにそう言いながら、少しシワになった紙をテーブルで伸ばしてから、丁寧に封筒に収めた。 .
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