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でも不思議な事に、この事については全く何も感情が湧いてはこなかった。
"無"だった。
悔しいとか怒るとかそんな負の感情もなければ、妊娠してよかったね…なんて事ももちろん思うはずもない。
全くの"無"だった。
相手に関心がなくなれば、こんなにも"無"になれるんだと僕は初めて知ったんだ。
「あ、別に俺はなんて事ないよ?
もう離れて随分時間が経ってるし、へぇ~って感じかな…
でも小切手は送り返すつもりなんだ…」
「そう…なんや。
なんかそれも悲しいなぁ…」
小嶋は呟くようにそう言いながら、少しシワになった紙をテーブルで伸ばしてから、丁寧に封筒に収めた。
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