第五章

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――息苦しい… 思い返してみれば、いつも互いに励まし合い、慰め合い、時には笑い転げて過ごしてきた。 タクシーの窓の外を流れるネオンを見ながら、息苦しさをなんとか鎮めようと深呼吸を繰り返す。 僕にとって小嶋は、もう随分前から無くてはならない存在となっていた。 ここまで自分をさらけ出し、互いが互いを支え合える人間など他にはいない。 ただそれは、男女の枠を越えた心の繋がりであって、友情とも愛情とも区別のつけ難い、僕にとって大切なものだったはず。 それが今の自分本意なおでこへのキスで、愛情というものに大きく比率を傾けてしまった。 .
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