第五章

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ずっと、自制してきたのに…。 流れ去るネオンをぼんやりと見つめて、もうすぐこの時間が終わる事に少しの寂しさを感じていると、不意に左肩に凭れたままの小嶋が呟く。 「……佐倉くんちに行きたい」 「………え?」 一瞬、寝言か聞き間違いだと思った。 だが、下から見上げる小嶋の真剣な眼差しを感じ、そうではない事に気付く。 「キス……嬉しかった。 もうずっと、佐倉くんは私を女としては見てくれへんて…思てたから…」 消え入りそうな彼女の言葉を聞いて、僕の中で何かが弾け飛んだ。 「運転手さん、すみません。 行き先、浪速区役所に変えてもらえます?」 .
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