第五章

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翌日。 口がカラカラになり、心臓がバクバクする中、小嶋の母親と蒼太に挨拶をしに向かっていた。 「そんな緊張せんでもええやん! 母も蒼太も、佐倉くんの事は前から気に入ってるし、ちゃんと離婚も成立してるんやし…問題ないやんか?」 助手席で余裕の笑みを浮かべる小嶋とは対照的に、それでも僕は極度に緊張したままだった。 「でも…普通はさ、結婚を前提に…とか挨拶するのに、籍は入れませんがお付き合いさせてください!なんて、おかしくない?」 僕らは昨夜、色々話し合って、籍を入れずに付き合っていこうと決めたのだった。 それはお互い、戸籍上だけの繋がりには意味がないと、身を持って実感していたからだ。 .
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