最終章

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僕の想像を遥かに超えて、モナは心に蟠りを抱えていた。 その現実にうちひしがれそうになる。 まだ一口もつけていない珈琲はすっかり冷めてしまっていて、それをちょっぴり口に含むと、いつもよりも苦味が強く感じられた。 時間をかけて苦い珈琲を味わった後、重い足でレジに向かうと、山口さんが会計を済ませてくれたそうで… なんだか少し情けない気分になりながら、階段を降りてテレビ局の外に出た。 真正面から吹き込む少し冷たい風が頬を撫でる。 それを避けるようにガラス張りのテレビ局を見上げると、僕と娘達との遠い隔たりを感じてしまった。 それでも、ようやく娘2人に対面できた喜びもじわじわと湧いてきた。 離れていた時間を埋めるには、焦っちゃいけない! そう言い聞かせて帰路についた。 .
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