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玄関ドアを開けると、小嶋がスリッパを鳴らしながら駆け寄ってくる。
「お帰り!えらい…早かったね」
表情から何かを読み取ったのか、小嶋はそう言って僕を両腕で包み込んだ。
「うん…でも逢えて嬉しかった。
娘達も元気そうだったし…」
「そう……よかった…」
頭の上から優しく包み込んでくれるような小嶋の声に、ホッと息を落とす。
安らげる場所がある。
それがどんなに素晴らしい事なのか、この時肌で感じた僕は、気持ちを切り替えて顔を上げた。
「蒼太は?もう帰ってる?」
「さっき帰ってきてんけど、また母が連れ出してしもたわ…」
「どこに行った?」
「早めの夕食、外で食べて、そのあと映画観るって言ってたな~」
「じゃあ…行こ?」
「どこに?」
「ベット」
僕は小嶋の手を引き、寝室のドアを開けた。
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