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「なんで?秋穂が泣くの…」
腕の中にいる小嶋は、静かに涙を流していた。
「あなたの愛情はきっとモナちゃんとヒナちゃんに伝わってる…
モナちゃん、動揺しただけやと思うよ…
よかったね…ホントに…」
その言葉とは裏腹に小嶋はやけに悲しそうで、すぐにピンときた。
「工藤さんも…蒼太の事、ちゃんと愛してたよ?
表現するのも、伝えるのも下手な人だけど…ね。
たまには会わせてあげたら?」
涙で濡れた瞳を上げて、小首を傾げる。
「いいん?佐倉くんは嫌じゃないの?」
僕はクシャッと笑った。
「全然!俺、蒼太の事もちゃんと愛せてる自信あるし!
工藤さんに負けへんくらい…」
「佐倉くんの関西弁、やっぱり変やな」
クスッと笑った小嶋の瞳には、さっきまでの悲しげなものではなく、キラキラと輝く光が宿っていた。
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