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「…アホらし。」
3年生になって少しばかりの5月、春の暖かい日差しでさらに眠くなるのだが、私はイライラしていた。
「…褒めればなんとかなるって思ってない?この人。」
ため息混じりにボソッと呟いた。
転任によって私の学年団の先生も入れ替えがあったのだが、その中でも英語の谷口とかいう先生は、本当に頭大丈夫なんだろうかっていうくらい終わってると思う。
40代くらい、
服は昭和、
ごめんなさい、言っちゃうよ
おばさんだ。
けれど私にとって、それらはそれほど重要なことではない。
要は中身だ。
終わってると感じたのはそこだった。
不運なことに彼女は、お気に召さなかったのだ。
どうせ本当はそんなこと思ってないくせに、馬鹿みたいに褒めて___彼女は、小学生の頃の担任を思い出させる。
『こんなにも、いい生徒達だなんて、ほんとびっくりしたの、私。すごいねぇ。さすが、泉谷生ね!』
彼女は言った。
褒めかたが嘘臭かった。
はぁ。とため息をついて、私は窓の外を見る。遠くに見える新緑の山と、青い空が綺麗だった。
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