第一章

4/4
前へ
/8ページ
次へ
「あれ、遥?」 あれから程なくして、ようやく谷口先生の授業が終わり休み時間特有の喧騒のなか、私はひとり呟いた。 生徒会長である遥とは三年間同じクラスだが、今だに行動パターンは読めない。良い意味で我が道を行く、しっかり者ではあるのだが。 それに対して、私はふわふわと回りに流されて、大切なことも良く忘れる頼りない人。毎日、毎週のことですら覚えていない時もある。 ほら、今日も。 そういえば、今日は毎週恒例の生徒会の集まりの日だった。 ---------- 「こんにちはー、」 開けっ放しのドアを通り抜けて、私は定位置にすわる。六畳もないであろうこの生徒会室にももう慣れたものだ。 「こんにちは。」 既に皆そろっていたようだ。毎週火曜日の昼休みに集まって、生徒会の行事とかについて話し合うのが恒例だった。私達はランチ会議と呼んでいる。 会長でしっかり者の遥に、副会長二人は言うまでもなく、同じ書記の茜だって二年生とは思えない。みんな、明確な意思を持っている。 このメンバーを見ると、どうして私は生徒会なんかに入ってしまったのだろうと毎回思うけれど、もう過ぎたことだって仕方なく割り切ってみる。 「それじゃあ、ランチ会議を始めます。」 遥の明るい声が生徒会室に響いた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加